人から何かをいわれた時に、どうやって返事をするか。これは普段の生活の中で自然と染み付いたりするものです。こう言われたら、こう返そう。心の中でそれが決まっているので、いつも同じような結果が生まれます。もちろん心の中で決まっていた方がスムーズな時もあります。
しかし、その返事をいつもとは違って、自分の心にもないことで返事をしてみたらどうなるでしょうか?
「心にもないことを言う」なんだか無責任でいい加減な人と思われそうですが、心にもないことをいうことで、自分の心にはなかった新しい心が芽生えることがあります。もしかすると新しい心ではなく、本来、あなたの心の奥底にあった言葉という可能性もあります。

そして、新しい心が芽生えると、今度は「心にもなかった」ことが「本心」になります。さらに「本心」を相手に伝えることによって、相手の喜びにもなります。相手の喜びになれば今度は2人の喜びになります。もっと大勢の喜びになるかもしれません。

前回は自分に語る言葉を変えるということでお話をしましたが、ここでは、「他人に語りかける」という部分に焦点を当てます。【悩み解決シリーズ言葉を変える法則】二つ目は、【他人に語る言葉を変える法則です】

この、お悩み解決シリーズは、順序を得て読んでいただけると、悩みの解決をより分かりやすくしてくれます。 まだご覧になられていない方は、下記のリンクをお読みください。悩みとはから始まり、各話の目次となっております。

心にもない言葉を言ってみる

あなたは上司から、憤怒の形相でミスを注意されたとします。注意をされたら誰だって面白くありませんよね。でも、面白くないからといって、ただヘラヘラと笑っていれば、「お前、真面目に聞いてんのか」とさらに注意されるかもしれません。
かといって、本音をそのままむき出して「うるさい!」などと言おうものなら、明日、会社に席がないかもしれません。(笑)

冗談はさておき、そんな状況に遭遇してしまったときこそ、他人に語る言葉を変える法則です。この法則では、とりあえず「心にもない言葉」を言ってみます。ちなみに心にもない言葉というのは、捨てゼリフじゃないですよ。

注意をされて、じつはムカついていても、あえて「ありがとうございます」と言ってみるのです。そのときの本心が、ムカついていてもかまいません。ぜひやってみてください。そこから状況が良くなるからです。

なぜ言葉を変えると良いのか?

ここで例え話をしてみましょう。ある時知人から「温泉があるから私の別荘に行かないか?」とわれました。せっかくなので、連れて行ってもらいました。行ってみて、私はがっかりしました。別荘といっても、ただ普通の家なのです。温泉といっても、たらいをちょっと大きくしたぐらいのサイズです。

私は「はるばる来たのに、何だこれは!」と一瞬思いました。

しかし、せっかくここまで連れてきてもらったのだから、ある言葉をふと言ってみました。温泉に浸かったときに、「いや〜、気持ちいいなあ」と心にもないことを言ってみたのです。

気がつくと、私は、「いいところに連れてきてもらったなあ」「気持ちいいなあ」「ありがたいなあ」などと、何回も言っていました。小さい浴槽といっても、露天風呂です。何回も感謝の言葉を繰り返すうちに、「へえ、星がきれいだ」「空気も清々しいじゃないか」と本当に心から気持ち良くなってきました。これは、自分に語るという部分です。

相手にも伝えてみよう

そして、重要なことは、それを相手に伝えるということです。

私が「気持ち良かった」「ありがたい」ということを当の知人に伝えると、彼はとても喜んでくれました。私が「気持ちいい」「ありがたい」と言うのを聞いて嬉しかったのでしょう。

別荘に到着して温泉を見たとたん、私が相手に「なんだ。全然たいしたことないじゃないか」と言ってしまっていたらどうでしょう。心で思ったことを、そのまま言葉で表現していたらどうでしょう。相手も一緒についてきた人も、気分が悪くなりますよね。もちろん私自身も、その日はとても気分が悪いと思います。場合によっては、険悪なムードになっていたかもしれません。

本心をぶつけることが必ずしも悪いわけではありません。むしろ本心をぶつけた方が良いこともたくさんあります。
しかし、状況によっては、このように本心をそのままぶつけずに、「心にもないこと」を言ってみることで、そこから新たな心が生まれてくることもあります。

そして、何よりも、「相手を喜ばせる」ということは素晴らしいことです。

「心にもない言葉」でも、それで「相手を喜ばせる」ことができれば、相手の喜びによって自分の心が変化するのです。

自分の心が変われば、「心にもない言葉」が本心の言葉になります。相手に語る言葉が、人間関係を良くする出発点になるのです。

あなたの心に隠れていた気持ちかも

世間では「ウソも方便」なんて言いますが、私がここで言う言葉を変える法則は、ウソをつくことではありません。ウソというのは、事実と違うことを伝えることです。先ほどの言葉の場合、「ありがたい」「気持ちいい」という感情は最初心にはなかったかもしれません。しかし、私は心と逆のことを口にしたわけでもありません。

「ありがたい」「気持ちいい」と言っているうちに、本当にそう感じたということは、そういう心持ちが自分に隠れていたとも考えられるのです。

また、目の前の事実を違う角度から受け止めることも有効です。

先ほどの例でいえば、私は「ありがたい」「気持ちいい」と口に出すうちに、目の前の事実を、角度を変えて受け止めることができました。つまり、同じ風呂にしても、「たらいより少し大きい程度の風呂」ととらえるのをやめて、「きれいな星空の下にある山の中の露天風呂」としてとらえたのです。

目的を決めることで効果的に

さて、この【他人に語る言葉を変える法則】を使うときに、重要なのは言葉を口にする「目的を明確」にするということです。「目的を明確」にして、はじめて目的を達成するための手段や方法が明らかになります。

たとえば、「どんな状況」で「相手がどんな人」で、その中で自分はどうしたいのかということを、しっかりと意識しなければいけません。それらをふまえて、はじめてどういう言葉をかけるかが決まるのです。

言葉にはたくさんの種類があるからです。たとえば、あなたが気に入らない相手を褒めたとします。相手は、褒められたことによって態度が変わりました。その反応を見て、あなたも心から嬉しくなってきました。あなたは、褒める前の相手と褒めた後の相手とどちらが好きでしょうか。もちろん、褒めた後のほうが好きだと思います。褒める前よりも、ずっと好きだと思います。

それは、あなたが言葉を投げかけることによって、あなたの本音が変わったからです。

言葉を投げかけたのは自分です。「心にもないこと」をあえて言ってみることによって、回転がドンドン良くなるのです。

ですから、相手から「こんなこと言って欲しいなあ」なんて待っていてはダメです。自分から投げかけるのです。そうすれば、あなたの回転がドンドン早くなります。

人間関係だけでなく仕事にも使える法則

相手に自分の思いを伝えて、その気を起こさせるにはどうすればよいでしょうか。一つには、「相手に相手自身を説得させる」という方法があります。
前回、言葉を変える法則の序盤でお話した「他者説得」が、同時に「自己説得」になる、という心の性質を利用するのです。「相手の口」から「あなたが伝えたいこと」を言わせるということです。

そのときあなたの思いは、あなたの思いというだけではなく、相手の決意になっているということです。

商品を売るとき、お客さんのほうから「これはいいものですね!」と言ったとします。

すると、それはお客さんが自分で言っていることになります。そこには何の抵抗も違和感もありません。このとき、お客さんはお客さん自身を説得しています。

もう一つ重要なのは、相手に語りかける言葉の種類です。相手に語りかける目的は、自分が伝えたい内容が相手に「ストンと入る」ことです。では、どうすれば「ストンと入る」のでしょうか。

それには、相手に「一番なじみのある言葉」を使うことです。ここでの目的は何でしょう?それはあなたがしゃべることではなく、相手に伝わるということです。

「一番なじみのある言葉」は、「方言」、仲間うちの言葉、業界用語、あるいは「外国語」かもしれません。

そこでは、「論理的」に言葉をつなぐと伝わるタイプもいれば、「感情的」に訴えたほうが伝わるタイプもいます。

相手にとって、どうしたら正しく伝わるのかを考えればいいのです。そして、ご質問に対するお答えになりましたか?」「どうお感じになりましたか?」「ご理解いただけましたか?」と言うように、正しく伝わったかどうかを、常に確認することです。

ここまでの話をまとめます

結局のところ、【他人に語る言葉を変える法則】で重要なことは、「他人に意識を置く」ということです。
他人とのコミュニケーションは乗馬に似ています。車や飛行機なら故障がない限り、操作どおりに動きます。でも馬はそうはいきません。乗り方は共通していても、乗る馬の種類や育てられ方、さらには習性や性格によって、臨機応変に対応しなければなりません。

きちんと調教されていて、人を乗せることに慣れている馬なら、きちんと言うことを聞いてくれるかもしれません。しかし、人を一度も乗せたことがない野生馬の場合は、細心の注意を払わなければ、乗ったとたんにふり落とされてしまいます。

あなたが、乗っている「馬をきちんと理解」できたとき、馬が動いてくれるようになります。「馬が合う」とはそういう状態のことです。「馬の理解」とは、まさに、「相手の理解」です。「相手に意識」を置いたうえで、【他人に語る言葉を変える法則】を使ってください。

言葉を変えて人生を変えてみよう

相手に語る言葉を変えることで、今までの自分の人生とは違った角度が生まれることがおわかりいただけたでしょうか?それまで自分の心で言っていた言葉が、あなたの人生を決めていました。ただそれは、あなたが今まで生きてきた中で決まっていた心です。それとは違う心の言葉を使うことで、新しい人生の扉が開かれます。
あなたも今日から相手に語る言葉を変えて、人生の新しい扉を開かれてみてはいかがでしょうか?